こんにちは、
もうすぐ満月ですね。
明るい夜を通過し、
未明に波をチェックすると、
台風26号の955hPaからのうねりが大きくなってきた。
(現在は975hPaに下がっている)
真っ暗な砂浜をカイラと歩き、
到着したのは昨日良い波だったアマミアン・バックドア。
うねりは大きくなり、
ダブルオーバー程度だろうか?
軽くトリプルくらいあるセットも入ってくる。
さらに波はひっきりなしにやってきて、
ほぼパドルアウト不可能に見える。
けれど、たまにものすごいレフトが入ってきて、
それは200mくらいの超パーフェクトの世界的な波だった。
さらには見渡す限り無人。
どこまでも無人。
さて、本家バックドアはライト波で、
グーフィー波は『パイプライン』となる。
とすると、
ここは『アマミアン・パイプライン』と呼べばいいのか。
「すごいあれ見て!」
カイラは波の織りなすスペクトラム(spectrum)に大興奮していた。
やはりサーファーの目線である。
よし決めた!
「お父さんは入るよ」
カイラは私のことを心配そうに見ているが、
ノースハワイでもこうしてひとりでサーフしていたことがあるので、
「わかった。カイラは写真を撮るね」
そう言って、カメラをセットしている。
昨日あれだけ浅く、
しかもトゲトゲのインドネシア系岩棚だったので、
用心のためにウエットスーツジャケットを着ることにした。
パドルアウトを開始したが、
やはり波パワーがすごく、
さらには右へ強烈に流れていて、
一瞬で浅場に持っていかれた。
これで深いダックダイブ(ドルフィンスルー)
ができなくなってしまったが、
なんとか波と波の合間に少しずつ沖に出て、
セットの合間に一気にパドルして沖を目指す。
が、セットがドカドカと入り、
また陸側に戻され、
さきほどよりもっと浅瀬に持って行かれてしまった。
もうこうなってしまうと、
あまり何も考えないようにして、
リズムを取ってゆっくりとパドルしていく。
そしてセットが切れると、
全力でパドリングをすることを繰り返した。
すると、ずっとセットが見えない黄金タイミングとなった。
「よーし!」と、
全力全開でパドリングのトルクを引き上げた。
水の色が違う深場まで入ったので、
「よし出られた!」
そう安心し、少しパドリングスピードをゆるめた。
その次の瞬間、水平線に大きく動くものが見えた。
「まさか」
そう思ったがそのまさかで、
本日1番の大セットがやってきた。
軽く8フィートはあろうか。
クローズアウトの長く広く、
そして高い壁が自分の前50mで爆発するように崩れた。
「ああ…」
完全にあきらめるのだが、
普段通りの速度でパドリングし、
あまり波の高さを見ないようにし、
爆発波と自分との距離だけに集中し、
両手でノーズを深く沈め、
そしてテイルをつま先で海底に向かって蹴り入れた。
一瞬インパクトの感覚があり、
大きな衝撃と共にボードと自分が波の中に引き入れられた。
ボードを体に密着させ、
何も考えないようにして巻かれていく。
分厚い泡の海面に浮き上がってきて、
また次の爆発波に対して、
同じようダックダイブし、
波が続くまで何度でもそうした。
ここで1番重要なのは、
「何も考えないこと」
波が怖ければ波の高さを見ないようにすること。
波を前にして怖がっても泣いても、
海は容赦してくれないから、
自分ができる最善のこと、最大のことをすること。
結局5本喰らって、
また浅瀬に戻されたが、
逆に「こんなものか」と波のフルパワーがわかったので、
そこから楽になれた。
で、沖まで出て、
うねりの切れるセットを待ち、
やってきたのがこの美しい波。
ひさしぶりに見る大きな波壁。
畏怖する気持ちを感動に変え、
自分に挑戦する気持ちで波の中に強く、
そして全力で漕いでいく。
遙か下方にボトムが見える。
斜面に左側のレイルが入るようにしっかりと斜めにテイクオフした。
この娘との旅で、
こんなに美しい波があるとは、
これほどまでに夢のような波を滑るとは想像すらできなかった。
ドリームサーフ・バンザイであります。
Nation Dream Crusher 5’6″
継ぎ目のない波を
“セクションレス”と言って讃えるのだが、
これはまさにそんな波だ。
最後には200mもの高速ライドを決め、
また浅瀬の岩場をパドリングで縫いながら無事に戻ってきた。
この波もツインと、
ナブスターセッティングで全く問題なくサーフでき、
このボードの持つ計り知れないポテンシャルに感動していた。
上がってくると、
ずいぶんと干潮に向かっていて、
波がずいぶんとマイルドになっていた。
これだけお腹が空いたことはないほど、
空腹となり、
グリーンヒルさんまで朝ご飯を食べに戻る距離の遠いこと。
ただ、行きは満潮だったので、
岩場をよじ登っていたのだが、
帰りはこうして砂浜を歩けるので楽でありました。
カイラがサーフできなかったので、
緑くんが、
「南側にカイラがサーフできるところあるので、午後から行きます?」
「ぜひぜひ」と支度して向かう。
奄美大島の南側もそれは美しく、
この南東うねりが回り込んで入ってくるブレイクを目指す。
到着したのは、
以前台風波を当てたアロー・バーズ。
http://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/24141
なるほど、
南東波がグリーンヒルさん前でダブル程度だと、
ここは腰胸くらいのファンウエイブになるのですね。
優しい波が好きなカイラが喜んでいたのは、
ここに書くまでもない。
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グリーンヒル夕食のおいしかったこと。
この日の献立は、
冬瓜と鶏煮込み
豚軟骨の甘醤油
アオマツの刺身
グルクンの天ぷら
ニガウリの天ぷら
島イカの酢の物
という絶品な島料理でありました。
特に豚軟骨と黒糖焼酎が良く合い、
すばらしき夜はゆっくりと更けていきました。
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【お知らせ】
私作品を集めた2016年カレンダーが完成しました!
こちらはB4サイズ(257 × 364mm)という大判冊子タイプです。
例年同様、卓上サイズもありまして、
今年もセット販売いたしますので、
どうぞご利用ください。
今日もNAKISURFにお越しくださって、
ありがとうございました。
私はずっとずっと四六時中ドリームサーフを想い描いて、
ついにそれが達成された日です。
これからもハッピーサーフで行きましょう!
Let’s happy surf and great life styles!
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